ドキュメンタリー映画を編集する前に

映像制作の場合、規模の大小はあるものの大抵はいくつもの重い扉を開いていかなければ作品を完成させることはできません。何かを作る時、ドキュメンタリー映画に限らず完璧さを追求することは大切なことです。しかし、実際には『完璧さの追求=無限で切りの無い作業』です。なので、現状可能な範囲で最大限の能力を発揮するしかありません。特にドキュメンタリー映画の編集に関しては膨大な素材を編集しなければならないので様々な困難という壁をぶち壊していくしかありません。我々の前に大抵現れる困難は、次の要領で克服しましょう。

●撮り素材100時間以上なんてざら、それを2時間以内に編集するという困難。この100時間の壁は途方もなく厚く、編集作業を想像しただけでも気が滅入ることがあります。これは、本当にどうしようもないので、一日何時間という風に決めて、時には公園で日光浴したり運動したりと、日々リフレッシュする時間を取り入れながら編集を進めていきましょう。

●資金不足。お金に関しても人生と同じで、出来る限りあった方がいいけど、実際には『製作費はしこたまあるんで、もう予算はいりません』なんていう組はどこにも存在しません。あのエヴァンゲリオンですら予算と時間がなかったためにテロップを多用しました。しかし、それが逆に斬新なものとして扱われ、最終的には映画をシリーズで公開していったのは周知の事実です。予算や時間が無いことを愚痴る前に、まずは頭をフル回転させ、現状でも出来る最善策を考えましょう。

効率良く質の高い作品を編集するには

100時間以上もの撮り素材を、効率良く編集し、尚且つ質の高い作品を作るには以下のポイントが大切です。

◆編集する前にドラマもののように、使用するカットを編集する前に決めてしまう。

もちろんドキュメンタリー映画の制作の場合、撮り素材の全てのカットが頭に入っていることはありません。しかし、一度は撮影しているわけですから、考えれば思い出すし、思い出さなくても、キャプチャーしてしまえば、グァーっと観ることができるので、最初に使うカットはある程度決めてしまいましょう。当然、編集している時に変わってきますが、テキストで編集台本を作ってしまえば、基本的にはそれに合わせてカットをつないでいくだけなので非常に楽です。また、作業時間を大幅に短縮することができるし、数か月に及ぶ編集作業によって見失いがちなテーマ、そしてその見せ方を的確に表現することができます。編集台本は一見、余計な手間のようにも思えますが、ナレーション原稿と一緒に撮影台本を手直ししながらサクッと作成してしまいましょう。

◆ナレーション原稿もアラ編が終わったら作ります。

アラ編が終わったらナレーションの原稿も書きます。最終的には尺に合わせてナレーションの決定稿を作る必要がありますが、だいたいのものは早めに作成すると、気が付かなかった見せ方などもポンポン思いつくようになります。

◆曲は早い段階で決定する。

劇映画などは編集してから、それに合わせて音を入れたり作ったりすることが多いけどドキュメンタリー映画の場合は曲ありきで画やストーリーをあてこんでいくことも可能です。音が決まるとテンポ良く編集作業が進んでいきます。